「秋の京都では、どんな和菓子が食べられる?」
「せっかくなら、その時期にしか味わえない京都らしい和菓子を食べてみたい」
京都の秋には、季節の行事にちなんだものや旬の素材を使ったものなど、この時期ならではの和菓子がたくさん登場します。
この記事では、9月〜11月頃に楽しめるものを「秋の和菓子」として、京都生まれ京都育ちの筆者が紹介します。
秋の景色を映した和菓子たちを、京都を訪れたらぜひ探してみてください。
※ 和菓子の販売時期や取り扱いは、その年や店舗によって異なります。
季節の和菓子だけでなく、京都ならではの和菓子の楽しみ方やおすすめのお店はこちらの記事で紹介しています。

秋の行事とともに食べたい京都の和菓子

京都の秋には、昔から続く行事や風習にちなんだ和菓子が登場します。
今では季節限定のお菓子として楽しんでいるものでも、その由来をたどると宮中行事や茶の湯、町なかの祭事につながっているものも少なくありません。
意味を知ってから食べてみると、見た目や名前の印象も少し変わってきます。
- 重陽の節句に味わう「着せ綿(きせわた)」
- 十五夜に食べたい京都の月見団子「衣被(きぬかつぎ)」
- 炉開きの頃に登場する「亥の子餅(いのこもち)」
- お火焚きのお下がり「お火焚き饅頭(おひたきまんじゅう)」
それではさっそく、ひとつずつ見ていきましょう。
重陽の節句に味わう「着せ綿(きせわた)」

9月9日は、五節句のひとつである「重陽の節句」。
菊の節句とも呼ばれ、京都ではこの時期になると「着せ綿(きせわた)」と呼ばれる上生菓子が登場します。
着せ綿のもとになっているのは、重陽の節句の前夜に菊の花へ真綿をかぶせ、翌朝に菊の露や香りを含んだ綿で身体をぬぐって長寿を願った風習です。
上生菓子の「着せ綿」は、菊の花に真綿をかぶせた様子を表現したお菓子です。
Konoka面白いのは、同じ「着せ綿」でもお店によって色や形、餡の仕立てがさまざまなことです。
いくつかのお店の「着せ綿」を見比べながら、それぞれの菓匠が菊と綿をどう表現しているのか楽しんでみるのもおすすめです。
かぎ甚
菊をかたどったこなしに、こしあんと栗あんの二重あん。
淡いピンクと白のやさしい色合いが印象的です。
塩芳軒
黄色・白・ピンクなど、色とりどりの着せ綿が登場。
丸みのある愛らしい姿にも注目です。
十五夜に食べたい京都の月見団子「衣被(きぬかつぎ)」


十五夜は、収穫した里芋を月に供える風習があったことから「芋名月」とも呼ばれています。
お月見といえば、真っ白な丸い団子を積み上げた姿を思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、京都の月見団子は里芋を思わせる楕円形の団子に餡をまとわせた形が特徴で「衣被」とも呼ばれます。
形や仕立てはお店によってさまざま。



よもぎを使ったものやこし餡・粒餡を合わせたものなども見られます。
十五夜の頃に京都を訪れたら、ぜひ和菓子屋さんの店先で京都ならではの月見団子を探してみてください。
俵屋吉富
里芋をかたどった外郎生地を、黒粒餡・黒こし餡・抹茶餡・薄紅こし餡・さつま芋餡で巻いた5種類の月見団子。
色も味わいもそれぞれ違うので、どれにしようか選ぶ楽しみがあります。
仙太郎
あんこのおいしさで知られる仙太郎。
シンプルな衣被だからこそ、餡そのもののおいしさを楽しめます。
炉開きの頃に登場する「亥の子餅(いのこもち)」


亥の子餅は旧暦10月の亥の日に、無病息災や子孫繁栄を願って食べられてきた行事菓子です。
茶の湯では、11月頃は風炉から炉へと切り替える「炉開き」の季節です。
亥の日に火を使い始める風習と重なることから、炉開きの際には亥の子餅をいただく習わしがあります。



そのため、京都の和菓子店では10月下旬から11月頃になると亥の子餅が店頭に並びます。
亥の子餅も、猪の子を思わせる形や焼印を施したものや胡麻を使ったものなど、お店によって見た目や仕立てが異なります。
同じ「亥の子餅」をいくつかのお店で見比べてみるのも、この季節ならではの楽しみです。
とらや
鎌倉時代の文献を参考に仕立てた亥の子餅。
きな粉をまとった餅に黒胡麻や干し柿を練り込み、香ばしさと自然な甘みを楽しめます。
鶴屋吉信
胡麻を練り込んだやわらかな求肥で、こし餡を包んだ亥の子餅。
いのしし神社として知られる護王神社の祭事にも登場する、京都らしい一品です。
お火焚きのお下がり「お火焚き饅頭(おひたきまんじゅう)」


11月になると、京都の神社や町なかでは「お火焚き」と呼ばれる行事が行われます。



その頃、和菓子屋さんやお餅屋さんに並び始めるのが「お火焚き饅頭」です。
小さな蒸し饅頭の表面に押されているのは、3つの炎が連なった火炎宝珠の焼印。
収穫への感謝や厄除け、無病息災などの願いを込めて食べられてきた、京都の晩秋を代表する行事菓子です。
華やかな上生菓子とはまた違い、見た目も味わいも素朴なのがお火焚き饅頭の魅力。
町なかの小さなお饅頭屋さんでも作られていますが、お火焚きの時期に合わせた季節菓子のため、店頭に並ぶのはごく短期間ということもあります。
11月に京都を歩くなら、町角のおまん屋さんにも目を向けてみてください。
鳴海餅本店
神社のお火焚き祭のお配りものとして使われるほか、地域の人にも親しまれている一品。
京都の暮らしの中に根付いたお火焚き饅頭です。
御菓子司 中村軒
昔ながらのおくどさんで職人が炊き上げた餡を使い、手間を惜しまず仕上げるお火焚き饅頭。
こし餡と粒餡の2種類あります。
秋は栗を使った和菓子も外せない


秋になると、京都の和菓子店には栗を使ったお菓子が一気に増えます。



栗蒸し羊羹や栗餅、栗きんとん、栗まんじゅうなど種類もさまざま。
10月の十三夜は「栗名月」とも呼ばれ、栗は秋の和菓子を語るうえで欠かせない存在です。
なかでも、この時期におすすめの栗を使った和菓子3つを紹介します。
さっそく、チェックしてみてください。
とらや|栗名月


「栗名月」は、十三夜に合わせて毎年わずか3日間だけ店頭に並ぶ季節菓子です。



販売店舗も限られているため、見つけたらぜひ味わいたい一品。
裏ごしした栗と白餡を合わせた生地でこし餡を包み、茶巾絞りに仕上げています。
栗の風味をしっかり感じられる、栗好きにはたまらないお菓子です。
売り切れてしまうことも多いため、確実に味わいたい方は事前に対象店舗へ取り置きをお願いしておくと良いでしょう。
鶴屋吉信|栗まろ


鶴屋吉信の「栗まろ」は、秋限定で登場する薯蕷饅頭です。
蜜漬けの栗をまるごと1個使い、なめらかなこし餡とともに丹波産のつくね芋から作る薯蕷生地でやさしく包んで蒸し上げています。
値段は少し高めですが、ひと口ずつゆっくり味わいたくなるおいしさ。



秋になるとまた食べたくなる、私も好きな栗菓子です。
さらに注目したいのが、丹波地方産のその年の新栗を使った「新栗 栗まろ」。
販売期間は約2週間と短く、新栗ならではの味わいを楽しめる特別な栗まろです。
亀末廣|竹裡(ちくり)


大粒の和栗を贅沢に使った栗蒸し羊羹。
1棹に10個以上もの栗が入っており、どこを切っても栗が顔を出すほどです。



ほくほくとした栗に、あっさりとした小豆羊羹がよく合います。
生地は、北海道産小豆のさらし餡に小麦粉や葛粉、砂糖を合わせて蒸し上げたもの。むっちりとした独特の食感も特徴です。
9月下旬頃から登場しますが、手作りで数に限りがあるため確実に購入したい場合は予約しておくのがおすすめです。
秋を映す京都の上生菓子


秋の上生菓子には、菊や萩、月、雁、栗、柿、紅葉など、その季節ならではの題材が使われます。
- 初秋:菊・萩・月
- 秋の深まり:栗・柿・雁
- 晩秋:紅葉・落葉・山の色づき
同じ秋でも、時期によって表現される景色は少しずつ変わります。
さらに、上生菓子を選ぶときは見た目だけでなく、お菓子につけられた名前「菓銘」にも注目してみてください。
すべてをそのまま見せるのではなく、菓銘や意匠に意味を忍ばせる。そこに、京都の上生菓子ならではの奥行きがあります。
「なぜ、この色や形にこの菓銘がつけられているのだろう。」
そんなふうに少し考えてみると、見た目だけでは気づかなかった季節の景色や物語が見えてきます。
秋の京都ではその時期にしか出会えない和菓子を楽しもう


京都の秋には、季節の行事や旬の素材、移り変わる景色を映した和菓子が数多く登場します。
- 重陽の節句には「着せ綿」が登場する
- 十五夜には京都らしい形の月見団子「衣被」が並ぶ
- 炉開きの頃には「亥の子餅」が楽しまれる
- 11月には町のおまん屋さんでも「お火焚き饅頭」が見つかる
- 栗菓子や秋の上生菓子からも、季節の深まりを感じられる
京都を訪れたら、その時期にしか並ばない和菓子にぜひ目を向けてみてください。
食べてみたい和菓子に合わせて、京都を訪れる時期を決めるのもひとつの楽しみ方です。
季節の和菓子を旅の目的にしてみると、これまでとは少し違った京都の楽しみ方が見つかるかもしれません。
こちらの記事では京都観光に便利なホテルをエリア別に紹介しているので、宿選びの参考にしてみてください。


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